Mashing up vol.3 2019に参加してきました

Mayu Nakamura
9 min readNov 21, 2019

2週間ほど経ってしまいましたが、Mashing up vol.3というイベントに参加してきたので、簡単なメモを残しておきたいと思います。

Mashing upというイベントは

女性をはじめとする多様な人々がしなやかに活躍できるような社会を創出する場です。異なる業種、性別、国籍、コミュニティの人々が「マッシュアップ」することで、新しいネットワーク、新しい一歩、新しいビジネスを創出できる化学反応を促進します。

という目的のもと行なっているとのこと。

会場は渋谷のTrunk Hotel。なんだかustwoロンドン本社があるShoreditchエリアを思わせるようなオシャレなバーを通り抜けて、3フロアあるイベントルームで話を聞いてきました。

日本人は男女平等に興味がない?

Factfullness of Gender Equality at Workplace

[Speakers]
村上由美子さん:OECD東京センター 所長
山口 慎太郎さん:東京大学 准教授

最初に聴いたセッションは男女平等のお話。紹介されたデータはどれも興味深いものでした。村上さんが話の序盤に「日本の女性は成績優秀」という話を国際的に比較したデータを見せながらされた時には、ものすごくシンプルなメッセージなのに何だかとても感動してしまいました。

  • データで見ると、日本の女性は国際的に比較しても計算能力、読解能力は世界一。グループでの問題解決能力もとても高い。それなのにサラリーの比較になると途端にランクが下がってしまう。それはサラリーが上がるポジション(管理職など)に女性が少ないから。
  • 女性が離職する理由は、家事との両立ができないからではなく、仕事に満足できないから。(アメリカでは逆)
  • 年功序列や総合職・一般職などのシステムは女性がキャリアを続けていくための障害になりがち。

山口さんも、データ化する事がいかに差別解消への効果的なツールになるかのお話をしてくれました。

  • 普段私たちが不平等の話をする時は、「なんとなくそんな感じがする」で話がち。最初のステップはまずデータを取って、その不平等を可視化すること。
  • マインドセットを変える、というのはもちろん大切な事だが、それだけでは不十分。システムによってバイアスが入らないようにする努力も必要。
  • よくある「女性は競争をしたがらないから」などの議論は、文化によって後天的に教育されたものだというリサーチ結果がある。

[思ったこと]

よく、「男女平等の機会は与えられているのに、女性の方が仕事をしたがらない」という反論を聞く事がありますが、それは既存のシステム、職場文化が「男は仕事、女は家」という前提の元に作られているからじゃないかな、と思います。また、日本の中間管理職文化って女性じゃなくても、例えば違う文化からきた人たちにとっても排他的でいるだけで苦しい面が多いと思うのです。それを、「ほらね、やっぱり日本の男性にしか務まらないんだよ」としてしまうのではなくて、どう変化させていくのかが今後の課題なのではと思います。…っていうかその方が男性も幸せになれる気がする。

ダイバーシティってコストも時間もかかる。でもその先に面白くてたまらない多様性があるという事実

The Reality of Diversity & Inclusion — Costly, Taking Time and Difficult to Measure ROI?

[Speakers]
岡島 悦子さん: プロノバ 代表取締役社長
神元 佳子さん: キリンビール 広域法人統括本部長
津田 純子:エポスカード 取締役 執行役員

まず最初に、こんな大企業の重役に女性の方がいらっしゃるなんて、それだけで嬉しくなってしまいました。(よく考えればそりゃいらっしゃるのだろうけど。)皆さんが話して頂いた、文化の変革の具体例も「可能なんだ」と信じさせてもらえる、心強い内容でした。

  • 最初のステップは横方向に=女性が辞めてしまわない事を目指す。
  • 次のステップは縦方向に=女性がリーダーになっていけることを目指す。
  • 女性が活躍できるために、男性も含めた働き方の改革を進めた。例:ミーティングに必ず男女参加し、誰が意見を言っても安全である環境をつくる、など。
  • そういった推進をするには「スポンサー」がいる、つまり上の人がきちんと守ってくれる事が重要。
  • ダイバーシティを進めた結果、クリエイティビティが上がり、それがビジネスの成長にもつながった。例:マルイのらくちんパンプスなど。多様性のあるチームが作った製品が、従来の客層より幅広く、多様な層に売れた。
  • ただ、世代間や男女別の対立になってしまわないように注意する。

[思ったこと]

上の人が許可を与えた上でのボトムアップの変革。上が推進しない事にはなかなか進まないんだけど、実際変革を推し進められるのは日々の業務の中での小さな変化ってことですね。また、多様性がただの綺麗事だけではなく、実際ビジネスの力につながっていくんだと証明できる例が実際にあるのは価値のあることだと思いました。

レジリエンス力 — 私が挑戦しつづける理由

Reason Why I Keep Challenging Myself

[Speaker]
ADRIANA MARAISさん: Off-World Founder

2日目の最初のセッション、実は仕事が伸びて最初の10分ほど聞き逃してしまいました。内容に関する先入観無しで、ただ「レジリエンス」という言葉にひかれて部屋に入ったのですが、なんと火星へ人類が移住する計画のお話。

“Exploring is a part of our DNA.”

  • 2020年代に人類が火星に移住する事を目指して計画を進めている。課題は山積みだし、膨大な予算はまだ集めている途中。それでも、地球上にある極限状態の環境で様々なシミュレーションを行う事から始めている。
  • 不可能な事に聞こえるかもしれないけど、初めて南極大陸へ行った人など、その当時の常識からしてみれば絶対不可能だと言われた事を人類は乗り越えてきた。

“Awakening the dreamer in all of us.”

  • 自分が情熱を感じる事を信じて、”out of comfort zone”な事を繰り返していく。イベントで知らない人に話しかける事から、違う国に移住する一大決心まで、自分の心地よい世界から一歩抜けてみる事は全てレジリエンス。

[思ったこと]

全く知見のない分野の話だったのに、溢れる自信を纏いながら話をする姿にあっという間に時間が過ぎていきました。スペースXの映像も流れたのですが、彼女の話を聞いてから改めてブースターの着地映像を見ると、すごい鳥肌。不可能を可能にする人たちが持っているレジリエンスというのは、自分自身とビジョン、そして人類の力をどれだけ信じられるかどうかなのかも知れない。言葉では言い表せない力をもらいました。

*実際流れたのはこの動画だったかわかりません。こちらは後からYoutubeで検索したものです。

朱に交わるな、カラフルであれ。組織がクリエイティブであるには

Be Colorful. To be Creative

[Speaker]
GENIE GURNANIさん:Head of Creative for VICE / Virtue
秋吉 梨枝さん :ロジクール デジタルオペレーションシニアマネージャー

ドラァグクイーンのジーニーさん、インスタの写真、これどうやって化粧してるの?様々な場面で拒絶されてきた話から始まり、ものすごく大切な、ハッとさせられるメッセージを送ってくれました。

  • “We are all born naked, and the rest is drag”…ジーニーさんが好きな言葉だそう(ごめんなさい、誰の言葉か聞き逃した)。私たちみんな生まれた瞬間から何かしらの衣装をまとい始める。裸のまま、自分らしくありたいと思うけど、拒絶されるのが怖い。「輪に入れない」恐怖がある。

“I made the world fit me.”

  • 最近はGoogle検索で”Am I normal?”と検索する人が増えているそう。また、採用面接でも「Cultural fit (文化に合うか)」がさも良いことのように語られるけど、実はそれは均質化でしかない。
  • Cultural fitはつまり「普通」に収まること、でもダイバーシティでは普通はない…つまりCultural fitはダイバーシティではない。

Be a cultural misfit

  • 合わなくてもいい。誰かに合わせるかどうかは自分の選択。自分の個性を発揮して、夢をみて、それが組織などの大きな夢にはまればそれでいい。
  • 「あなたがあなたらしくいるだけで、それは貢献なのだと気付いて。」

[思ったこと]

拒絶されることへの怖さから人に合わせてしまうって共感できまくり。また、自分の仕事でもCultural fitという言葉はよく出てくるので、これは考えさせられる内容でした。確かに、文化が違う人たちが集まると、やりにくい部分が出てくるかも知れない…。でもそこの違いを認めて、一つの大きなゴールを達成できた時、クリエイティビティが発揮されるんですね。私も誰かを阻害してしまわないように気をつけよう。

全体を通して

他にもいくつかトークを聞きましたが、2日間で得られたエネルギー量がすごかった。ダイバーシティな文化を進めていく上で、知識として学びになった部分もあるし、ただ感覚としてインスピレーションをもらった部分もありました。普段、均質化された社会の日本で生活をしていると、多様性のある世界なんてそのまた夢なんじゃないかと感じがちなのですが、同じような想い・考えを持っていらっしゃる方々が多くいる事を知って、勇気をもらいました。日本にも女性のロールモデル、たくさんいるんですね。

オマケ

最後に、入り口で頂いたバッグがとても素敵だったので紹介。RICCI EVERYDAYという、アフリカの女性と一緒に作っているプロダクトだそうです。可愛い。おしゃれ。使ってます。また行きたい。

--

--

Mayu Nakamura

Digital product design lead @ustwo. Believes in UCD. Mindfulness padawan. Music, SciFi, Crime fiction addict.